しずおか研究について しずおか研究とは

しずおか研究とは

 しずおか研究(静岡多目的コホート研究事業)は、静岡社会健康医学大学院大学が中心となり、県内外の大学や研究機関、企業、自治体と連携して行う大規模コホート研究です。2021年に賀茂地域(伊豆半島南部)の住民を対象に研究を開始し、2023年からは袋井市にも範囲を拡大しました。今後、県内の他地域にも展開し、最終的には2万人規模のコホートを築くことを目標としています。

コホート研究とは

 集団を長期間観察することで、どのような特徴を持った方がどのような病気に罹りやすいのか明らかにする研究手法です。人の特徴と病気との関連が明らかになれば、翻って何を改善すれば病気を予防できるのかを知ることができます。

しずおか研究が目指すもの

 私たちの国では、戦後、平均寿命が大きく延伸しましたが、その要因に脳卒中が激減したことが挙げられます。今や高血圧が脳卒中の最大の危険因子であることは良く知られていますが、かつてはそのような認識はありませんでした。コホート研究をはじめとする様々な研究の成果として、血圧を適正に保つことが脳卒中の予防に最も重要であることが明らかになったことが、脳卒中の減少、ひいては平均寿命の延伸に大きく貢献したことに疑う余地がありません。
 一方、平均寿命が延伸したことで、かつては稀有であった認知症がありふれた疾患となりました。また、高齢者における“そこはかとなく弱った状態”を指すフレイルという新しい概念も生まれました。しかし、このような比較的最近になって顕在化した病気や高齢者特有の症状については、予防や治療に対するエビデンス(科学的根拠)が十分蓄積されているとはいえません。
 そこでしずおか研究では、大規模コホート研究の成果として、認知症やフレイルなどの加齢性疾患の予防や治療のためのエビデンスを導き出すことを目標としています。ただし、認知症やフレイルはある日突然に発症するものではなく、背景には脳卒中や心臓病、腎臓病などの循環器疾患、動脈硬化などの潜在性臓器障害、それらを引き起こす悪い生活習慣や生活環境、さらには私たちの体質(遺伝因子)が関連しています。また、分析技術が進歩したことで、これまでは測定できなかったような生体の微量な分子が病気に関係していることも分かってきました。しずおか研究では、このような因子についての研究にも取り組むことでヒトの生命情報を網羅的に理解すること、もって様々な疾患や症状について未知の危険因子を明らかにし、今まで以上に効果的な予防方法を確立することを目指します。