足底感覚は高齢者の姿勢バランスおよび下肢運動機能と独立して関連している

著者名加藤倫卓、栗田泰成、中野渉、中野聡子、鬼頭和也、田中仁啓、瀬藤和也、栗山長門、尾崎悦子、田原康玄ら
発表日2025.01.08
論文タイトルPlantar cutaneous sensation is independently associated with postural balance and lower limb motor function in older adults: the Shizuoka study
研究の概要65歳以上の約3人に1人が毎年転倒を経験しています。転倒の要因として、姿勢バランスや運動機能、さらには足底感覚が挙げられていますが、地域在住高齢者におけるこれらの関係性は十分に解明されていませんでした。本研究では、地域在住高齢者を対象に、足底感覚と姿勢バランスおよび下肢運動機能との関係を調査しました。足底感覚閾値は自動足底感覚検査装置を用いて評価し、姿勢バランスは片脚立位時間、運動機能は5回椅子立ち上がり時間と通常歩行速度で測定しました。その結果、足底感覚閾値は片脚立位時間および5回椅子立ち上がり時間と有意な関連が認められましたが、通常歩行速度との関連は確認されませんでした。この関係性の違いは、運動制御の違いによるものと考えられます。特に片脚立位時間および5回椅子立ち上がり時間は、通常歩行と比較して足底感覚のフィードバック機構をより利用した運動制御であることが明らかになりました。これらの結果から、足底感覚の評価は、姿勢バランスや下肢運動機能の低下を引き起こす要因を特定するための有用な手段となる可能性が示唆されました。
PMID37027980
掲載誌European Geriatric Medicine